時間の感覚と不安
時間の感覚と不安
「時間の過ぎるのが早くなったら年をとったせいだ」と、俗に言いますが、私の周りの時間もこの数年間でどんどん早くなっているようです。
記憶力のせいなのか、するべきことが沢山あるからなのか・・
私が小学生の頃は、私の周りにはとても大きな世界があって、その中で、全く手の届きようがない高い天井、あるいは天井もない無限の空間のように思えていた世界の中で私は生きていたように感じます。
ところが今は、世界(地球)の端から端が有限であることを意識しているかのように、なにかモゾモゾと日々を過ごしているような感じがします。
みなさんは、目的地までの距離がわからないところを往復するとき、帰りよりも行の時間の方が長く感じると思います。行く時は距離感・時間の予想のない状態で、帰りはほぼ予想がつくからではないでしょうか。
予想のつかないこと、時間、距離は長く感じるのかも知れません。
うつ病や不安障害になられた方々は、その辛い日々をとても長く感じているのではないでしょうか・・・
うつや不安など、その方にとっては初めてで見通しのつかない事柄なのですから。
私ども心療内科の医師は、その辛さには限りのあること、治療によって辛い時間を短くできることを先ず初診時にお伝えしています。
辛い時間が続いているときは、いま自分に何が起こっているのかを私たちと共に理解することで不安が軽減し楽になる糸口がつかめるのです。